平成29年01月06日　記者発表資料　『上野1号墳・上野遺跡』の発掘調査現地説明会の開催について

問い合わせ番号：10010-0000-3770 更新日：2017年 4月 1日

1.日時

平成29年1月14日（土曜日）午前11時から（1時間程度）　　【少雨実施、荒天中止】

2.場所

『上野1号墳・上野遺跡』発掘調査現場（四日市市西阿倉川町）

3.主催

四日市市教育委員会

4.内容

宅地造成に伴う上野1号墳・上野遺跡の発掘調査成果の公開

5.調査概要

（1）はじめに

　上野遺跡は、海蔵川左岸、阿倉川台地の南端に位置する弥生時代から室町時代にかけての集落跡です。宅地造成に伴い、1次調査（平成元年）と2次調査（平成2年）に発掘調査を実施し、弥生時代の集落と同時期の方形周溝墓が検出されました。古墳時代の遺構は、1次調査では、前期の遺構として、竪穴住居跡11棟、後期の遺構として竪穴住居跡1棟が検出されていますが、隣接する2次調査区では、古墳時代後期、奈良時代の遺構・遺物は検出されていません。今回（3次調査）の調査区は、2次調査区の南、1次調査区の南東にあたり、宅地造成にかかる道路部分及び削平部分を調査しました。

（2）今回の調査成果

調査期間

平成28年12月1日から平成29年1月20日（予定）

調査面積

400平方メートル

時代

古墳時代（7世紀前半、約1,400年前）、鎌倉・室町時代（13～16世紀頃）

主な遺構

古墳（横穴式石室、墳形については不明）　
土坑（室町時代）

主な遺物

古墳時代…須恵器（台付直口壺・短頸壺・高杯・杯身・杯蓋・提瓶）、金属器（小刀）
鎌倉・室町時代…土師器（羽釜・茶釜）、陶器（甕・壺・椀）、金属器（和鏡）

概要

　主な成果として、古墳時代後期の横穴式石室を有する古墳と室町時代の土坑を検出しました。
　この地域（阿倉川台地）の古墳としては、東北東1.3キロメートルに四日市市唯一の前方後円墳の志氐神社古墳（4世紀、前方部は削平）が存在するだけで、海蔵川右岸には御館野台地東端の大谷古墳群が西2.0キロメートルにあったにすぎません。いわば、古墳の空白地帯を埋める発見です。
　古墳主体部は大きく削られており、横穴式石室の西側の石はすべて抜き取られていますが、東側の基底石が南北方向に沿って、5つ残存し、床面の礫層の中央部には、須恵器（台付直口壺、短頸壺、高杯、杯身、杯蓋など）が供えられていました。石室の大きさは長さ6.5メートル、幅1.6メートル前後、玄室と羨道を備えた、かなり大きな古墳であったと推定されます。
　石室の基底石は、数百キログラム前後の石が使われており、花崗岩が多い鈴鹿山脈では
珍しい砂岩が使われていますが、海蔵川流域で産出されたものではなく、員弁川流域のものと考えられます。
　中世の遺構としては、石室を取り囲むように存在しており、鎌倉から室町時代にかけてのさまざまな土器や陶器が出土しています。西側の土坑からは、銅線がついた茶釜片などが出土しました。東側の土坑からは和鏡が出土しており、中世墓の存在が推定されます。常滑産の甕や猿投産の茶碗などの出土は、伊勢湾岸の交流が盛んであったことを裏付けます。
　今回の調査の結果、古墳時代にこの地域を支配する強力な首長が存在し、7世紀前半に、遠く員弁川流域から石を運搬して、横穴式石室を備えた古墳が作られました。時期差のある土器の出土から、数回の埋葬が行われたことがわかりました。その後、中世には古墳の石材が抜き取られ、西側から大きく削られたようです。その後、西側は中世の集落の生活圏となりましたが、古墳の東側は墓域として利用されていた可能性があります。今回は、鎌倉～室町時代にかけての住居跡は検出されませんでしたが、1・2次調査で確認された集落が広がっていることがわかりました。

6.その他

問い合わせ先

　前日までは、四日市市教育委員会　社会教育課
　電話番号　059-354-8240　Fax　059-354-8308
　当日、天候が危ぶまれる場合の説明会の有無については
　午前7時以降　市役所休日受付　電話番号059-354-8177

アクセス方法

公共交通機関の場合
三重交通新小杉・Jヒルズ行　「海蔵神社」下車　徒歩3分
近鉄名古屋線　「阿倉川」駅下車　徒歩10分
自家用車の場合
国道1号「川原町交差点」を西に曲がり、近鉄の高架下をくぐり、信号右折。
二つ目の信号を右折。「海蔵地区市民センター」と「市立海蔵小学校」に駐車場があります。会場まで徒歩3分。駐車できる台数は限られていますので、公共交通機関のご利用をお願いいたします。

現地地図
上野1号墳・上野遺跡　遺構写真・作業風景

古墳基底石と礫層の上に並べられた須恵器（石室奥から入口を望む）